みなさんは、「七つの大罪」って知っていますか?
よく小説や映画、漫画などのモチーフになったり、登場人物やネタで出てきますが、
実際に七つの大罪の歴史や成り立ち、内容について知っている人は少ないのではないでしょうか?
今回は「七つの大罪」について、ご紹介します。
七つの大罪とは
七つの大罪(ななつのたいざい、ラテン語: septem peccata mortalia、英: seven deadly sins)は、キリスト教の西方教会、おもにカトリック教会における用語。ラテン語や英語での意味は「七つの死に至る罪」だが、「罪」そのものというよりは、人間を罪に導く可能性があると見做されてきた欲望や感情のことを指すもので、日本のカトリック教会では七つの罪源(ななつのざいげん)と訳している。
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意外なことに実はキリスト教の教典の聖書の中には七つの大罪について
直接書かれてはおらず、教理(宗教の教え)のなかで語られています。
一般的に七つの罪を重大とされる順番に並べると、
「傲慢」「嫉妬」「憤怒」「怠惰」「強欲」「暴食」「色欲」の順とされています。
ダンテの「神曲」に登場する「煉獄の山」も構成は七つの大罪と同じになっており、
ダンテはこの山を登るたびに浄められていくのです。
七つの大罪の関連づけ
七つの大罪は悪魔などと関連づけられているのが有名です。
これは1589年ドイツのペータービンスフェルトが罪と悪魔の関係を
記した著作を著したものが始まりです。
このような七つの大罪と悪魔の関連づけは、キリスト教の本質的な部分とは
無関係ですが、通俗的なグリモワール(魔術書)において引用されることと
なりました。
七つの大罪と悪魔の関連を最初に表現したのは、16世紀の版画家、
ハンス・ブルクマイヤーです。これには悪魔がそれぞれ自分の名の記された
リボンを手にした姿が描かれ、その後、中世には悪魔ではなく、動物の姿で
表しているものも見られるようになりました。
七つの大罪①:傲慢(Pride)
対応する悪魔:ルシファー
対応する動物:グリフォン・ライオン・クジャク・コウモリ
傲慢な者は誰からも愛されないので、神は特にこれを嫌うと言います。
傲慢な者は他者を軽んじ、自分より優れた者を中々素直に認められなくなります。
それはやがて、神への不信にも発展する可能性があるのです。
傲慢に対応するルシファーは、元々ラテン語で「明けの明星」という意味で、「光をもたらす者」という意味を持つ悪魔です。また、魔王サタンと同一とされ、
サタンの堕落前を指す呼ばれ方でも使われます。
ルシファーは天使の中で最も美しく、最高位でありましたが、創造主である神に謀反を起こし、
自ら堕天使となりました。
七つの大罪②:嫉妬(Envy)
対応する悪魔:レヴィアタン(リバイアサン)
対応する動物:マーメイド・蛇・犬・猫
嫉妬や妬みという感情は「恐ろしい怪物」と表現されることもありました。
一度嫉妬を感じ始めると、原因となる状況が改善されるまで、中々離れなくなります。
何より、他人の不幸を見て喜ぶことは、神の意志に反するものなのです。
嫉妬に対応するレヴィアタンは、旧約聖書に登場し、神に作られた海の中の巨大な怪物で、
同じく神に作られたベヒモスと二頭一対とされ、ベヒモスが最高の生物と記されるのに対し、
レヴィアタンは最強の生物と記されています。
悪魔祓いが通じない悪魔で、人に取り憑いた際には、追い払うのが非常に難しいとされ、
特に女性に取り憑くことが多い傾向にあります。
世界の終末には、ベヒモスとともに、食べ物として供されることになっています。
七つの大罪③:憤怒(Wrath)
対応する悪魔:サタン
対応する動物:ユニコーン・ドラゴン・狼・猿
憤怒は神経をかき乱し、本人だけでなく、周囲の人まで不愉快な気分にさせて
しまいます。
また、一度火がついてしまうと抑えにくくなる感情でもあり、神に禁じられている
人を傷つける行為に及ぶ可能性もある罪なのです。
憤怒に対応するサタンはルシファーと同一とみなされることが多い悪魔です。
前項でも紹介しましたが、かつては神に仕える御使いでありながら、
堕天使となり、地獄の長となりました。
神に反逆し、敵対者としての悪魔に変化したとみなされています。
悪魔の王として描かれることが多いですが、サタンが登場する文献は数多くあり、
サタンに関しては様々な説が出回っています。
七つの大罪④:怠惰(Sloth)
対応する悪魔:ベルフェゴール
対応する動物:フェニックス・熊・牛・ロバ
怠惰は人間から活力を奪ってしまいます。活力を失った人間は、
外界への関心を失ったり、愛情を外へ向けられなくなってしまいます。
やがて絶望を感じてしまい、神に見放されたと思い込み、神に背くことに
なってしまうのです。
怠惰に対応するベルフェゴールは、元々はバアル・ペオルという神として
崇められていました。
しかし、キリスト教を浸透させる際に、一神教説を用いるために排除され、
悪魔とされてしまいました。
中世ヨーロッパの伝説では、悪魔界において「幸福な結婚は存在するのか」という
議論になり、それを確かめるために、ベルフェゴールが人間界に降りることに
なったと言います。
ベルフェゴールは女性に性的で不道徳な心を芽生えさせる力を持っており、
女性に対して不信感を持っていました。
そして人間界を観察した結果、ベルフェゴールは「幸福な結婚は存在しない」という
結論を導いたといわれています。
七つの大罪⑤:強欲(Greed)
対応する悪魔:マモン
対応する動物:ゴブリン・狐・ハリネズミ・カラス
ここで言う欲というのは「金銭や富に対する欲」だとされています。
欲に取り憑かれたものは、名誉や礼儀、恥はおろか、神の命令についても
考えなくなってしまいます。
そもそも聖書では、十戒においてむやみに欲しがることを禁じているのです。
強欲に対応するマモンは、元々、シリア語で「富」を意味する言葉に
過ぎませんでした。
そこから不正な富を表す言葉となり、新約聖書における偽りの神として
擬人化され、「富」や「貪欲」の象徴となりました。
堕天してもなお、地獄で金鉱を発見し、パンデモニウム(伏魔殿・悪魔がひそむ殿堂)を飾るため、他の堕天使を指揮しています。
また、金銀を母なる大地からえぐりだす術を人間に教えたのもマモンだとされています。
七つの大罪⑥:暴食(Gluttony)
対応する悪魔:ベルゼブブ
対応する動物:ケルベロス・豚・虎・蠅
暴飲暴食などは、自分はおろか、神の存在すら忘れさせてしまうと言います。
また、この行為は肥満につながり、動くことすら億劫となり、
怠惰の罪にもつながってしまうのです。
暴食に対応するベルゼブブは、元々古代オリエント世界で信仰され、
バアル・ゼブルの名で呼ばれていました。
しかし、バアルへの信仰を嫌ったヘブライ人が「蠅の王」と蔑んで呼び出し、
これが聖書に掲載される形で世に広まって行きました。
近世ヨーロッパでは、ベルゼブブはサタンに次ぐ強大な権力を持つとされ、
実力だけならサタンを凌ぐともいわれる魔王です。
ベルゼブブは、神託をもたらす悪魔とされ、作物を荒らす蠅の害から
人間を救う力も持つといわれています。
七つの大罪⑦:色欲(Lust)
対応する悪魔:アスモデウス
対応する動物:サキュバス・山羊・サソリ・ウサギ
色欲でもある性欲は、生き物に備わった本能ですが、それ故に、衝動も強く、
強すぎる色欲は、身体の衰弱や犯罪にもつながります。
ここでの色欲はもちろん全ての色事を断てと言うわけではなく、
過度の色欲を戒めているものなのです。
色欲に対応するアスモデウスは、ユダヤ教とキリスト教に登場する悪魔の一人です。
激怒と情欲の魔人であったことから、「色欲」を司る悪魔となりました。
悪魔となる前は智天使だったとされ、ゴエティア(魔術書のひとつ)によれば、
72の軍団を率いる序列32番目の大いなる王とされます。
異形な姿をしており、その姿を見ても恐れずに敬意を払い丁寧に応対すると
非常に喜び、指輪やガチョウの肉をくれたり、幾何学や天文学などの秘術を
教えてくれるという、意外な一面も持っています。
七つの大罪をモチーフにした作品
七つの大罪をモチーフにした作品は数多くあります。
その中でも特にメジャーなものをいくつかご紹介します。
SEVEN/セブン(洋画)
「七つの大罪」になぞらえた連続猟奇殺人が起こり、それを調べる刑事たちの姿を描いたサイコサスペンス。
1996年に日本で公開
デヴィッド・フィンチャー監督、ブラッド・ピット、モーガン・フリーマン出演。
JUDGE/ジャッジ(邦画)
何者かによって「七つの大罪」になぞらえた罪を背負い密室空間に閉じ込められた
男女7人。生き残りたければ、それぞれの罪人の罪の重さを制限時間内に多数決で決定しなければならない票を多く集めた者には贖罪のチャンスはなく死の制裁が下る。
2013年に公開された「月刊少年ガンガン」の同盟漫画が原作。
古波津陽監督作、瀬戸康史、有村架純出演
七つの大罪(漫画)
かつて王国転覆をはかったとされる伝説の逆賊・〈七つの大罪〉。今もなお執拗に、そのお尋ね者を追うは、王国の要・一騎当千の聖騎士たち。しかし、切なる想いを胸に秘め、〈七つの大罪〉を捜す一人の少女が現れた時、世界の様相を一変させるとびきりの冒険が始まります。
作者:鈴木央 2012年~2020年、週刊少年マガジンに連載されて連載(単行本全41巻)映画化、アニメ化、ゲーム化されている。
七つの大罪 まとめ
いかがでしたか?
七つの大罪のそれぞれの罪は、一般的になぜ罪になるのかということを書いていますが、人それぞれ解釈の仕方もあるかと思います。あくまでも一例として参考にしてください。