医療事務の資格って実際のところ使えるの?

約30年、医療機関の事務職として勤務した経験から医療事務の資格が使えるのかどうか、
本音を
語りたいと思います。

理由は後ほどお話しますが、僕の経験から言わせてもらうと、
医療事務の資格は使えません。と言うより必要ありません。

医療事務の資格

医療事務の資格は民間資格です。
様々な認定団体のものを合わせると資格の種類は80種類以上あります。
合格率は50~70%と幅があり、意外と低いように思いますが、
年に4~6回受験チャンスがあるので、実際の合格者の数は非常に多いです。

医療事務の業務

医師や看護師などの国家資格のようにその資格を持っていないと出来ない
独占業務ではなく、資格が無くても誰にでも出来る業務です。

実務内容は、受付、会計、カルテの整理、電話応対、予約管理、
患者のクレーム対応、院内資料作成などあらゆることをやります。
女性が多い職場ですが、男性職員もいます。
男性だと救急患者の受付や電話対応などで事務当直がある医療機関もあります。

上記の日常の業務(受付や会計、電話対応など)と並行して
毎月末・月初め1日~10日にレセプト業務を行います。
(医療事務というと大体この業務を思い浮かべるのではないでしょうか)
レセプト業務とは簡単に言うと患者さん負担分以外の診療費を
保険者(国保連合会や支払基金)に請求をする業務です。
(例えば患者さんが2割や3割負担し、残りの8割や7割を保険者に請求します。)

医療事務のメリット

未経験でもOK

意外と業界未経験でもOKな求人は多いです。

診察が無料

薬代はとられますが、診察代は還付してくれる医療機関があります。

休憩が長い

主に診療所やクリニックでですが、午前が終わって午後の診療時間まで
2~3時間あるところが多いと思います。
その間に休憩がとれるところは家に帰って家事をしたりもできます。

医療事務のデメリット

給料が安い

給料は一般事務職と比べても低い場合が多いです。時給換算すると
最低賃金ぎりぎりぐらいなのではないでしょうか。
(残業代を含めるとそこそこの額にはなります。)
医師や看護師の人件費を減らすのは、医療の質が下がるためできないため、
削るのは事務員の人件費になるのです。

人間関係

人間関係のことは一番よく聞きます。
女性だらけの職場で、扱いに困ります(平等に扱わないと不平不満が出ます)
また、在職年数の長い人も多く、いじめも存在します。人数多めの職場だと派閥ができ、
いわゆるお局様からのきつい洗礼があったりと、退職理由で一番多いです。

患者からのクレームを受ける

色々な患者さんが来ますから当然クレームもあります。
例えば医師や看護師に対してのクレームであっても直接は言わず、
ほとんどの場合は受付に言いに来ます。
やることはたくさんあるのに、
クレーム処理に構っていられるほどの時間の余裕はありません。
相当ストレスが貯まります。
クレーム対応で患者と医師・看護師との板挟みになることも珍しくありません。
クレームのほとんどは待ち時間が長いというものです。

残業が多い

病院は診療時間が決まっているので時間ピッタリに終わることが出来て、
残業がないと思われますが、
実際は受付した人は全員診なければならないので
混雑していると当然時間通りに終わりません。

毎月のレセプト期間は10日までに
国保連合会や支払基金に請求を行わなければならないので、
遅くまで残業することも多く、ゴールデンウィークや正月なども
出勤しなければならないです。(若かりし頃、僕も面接の時にGWや
年末年始は無いと思ってくださいと言われた記憶があります。)
昔はITも発達しているわけでなく、手作業がメインだったので、
日付が変わることも当たり前でした。
しかし残業代はちゃんと貰えていましたので、同世代と比べてそこそこ給料はありました(笑)

なぜ資格が必要ないのか

TVコマーシャルなどで医療事務の仕事は簡単で誰にでもできると謳っていて、
甘く考えている方も中にはいるかも知れません。
誰にでも出来ますが、資格があるからと簡単に出来るものでもありません。
(コマーシャルを見て、医療事務をなめるなよ!って思ったことも正直あります)

資格を取ろうと思っている人は、恐らく未経験で雇ってもらえるか不安で
せめて資格でも取って武器にしておこう
と思っていると思いますが、
結論から言うと、
全く必要ないんです
なぜなら資格で勉強した知識は実務では全く使いません。

理由1:実務経験を重視

どこの会社や職種でもそうですが、実務経験があるかどうかを重視します。
自院と同じ形態での実務経験があれば最高ですが、
前職が自院と違う形態であったとしても
医療機関での実務経験があれば優先順位は上がります。
実務経験が無ければ資格の有無となりそうなところですが、
そこはあまり重視することはありません。
次に重視するのが短期間で転職を繰り返していないかどうかです。
短期間で転職を繰り返す理由は様々あるとは思いますが、やはり印象は悪いです。

理由2:全てを網羅した資格がない

まず、病院で言うとベッド数(200床以上と200床未満)であったり、
国公立の病院・大学病院などの高度な医療を扱う病院と一般の病院、
また一般の病院でも救急病院と療養型の病院の形態の違い、
病院と診療所(クリニック)でも違いますし、扱う診療科も各医療機関で違いますので、
レセプトの内容や業務内容は異なります。
また、レセコン(レセプト・コンピュータ)のメーカーも医療機関によって違うため
当然、操作方法が異なります。

そういった内容を全て網羅する資格は無く、不十分と言わざるを得ません。

理由3:2年に1度の診療報酬改定

診療報酬改定が2年毎にあり、
その都度、新しく覚えなければいけないことも増えていきます。
資格を取得した時に勉強したことと内容が変わってしまうことがあります。
意識して情報をアップデートしていかないといけません。

理由4:習うより慣れろ

各医療機関によって違いがあることは理由2で話ましたが、医療機関に合わせて
実際に業務に携わりながら覚えていくしかないのです。むしろそれで十分覚えられます。
そこは医療機関も十分理解しており、ゼロから教育する体制が整っている場合が多いです。
同じ教えるのであれば変な知識がない分、知識ゼロからの方が教える方も教えやすいです。

理由5:値打ちがない

それでも資格は無いよりは、あった方がいいのでは?と思うかもしれませんが、
ハッキリ言って、何十もある出どころの分からない認定団体の誰にでも取れる資格に値打ちはありません。
僕自身も何十人と面接をしてきましたが、資格の有無は触れることはありませんでした。
それよりも人柄や面接態度、PCスキルがどれくらいあるかを重視していました。

まとめ

厳しい現状をお話しましたが、採用する側は実務経験のある人を求めることが多く、
経験が無くても、やはり高齢の方などが多い職場ですので、
本人の人柄やコミュニケーション能力を重視します。

資格の有無が採用の可否に影響することはありませんし、
待遇にもほとんど差はありません。
あまり離職する人もいないので、正職員の募集もまれで、
非常勤やパートがほとんどなので、
時間と労力と費用を何万円も掛けて講座を受講し、
資格を取っても割にあわないと言うのが現状です。

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